許可を受けようとする営業所では
許可業種ごとの専任技術者の設置が必要となります!
「専任技術者」とは
その営業所に常勤し、もっぱら請負契約の適切な締結及び履行の確保を業務の目的し、現場に従事する技術者等をバックアップ・サポートすることをその使命とし、次の「専技」としての資格を有することを証明した者をいいます。
建設業の許可を要する事業活動を行うには、次に該当する許可業種ごとの常勤の専任技術者を事業活動を行う各営業所ごとに設置しなければなりません。
一般建設業の許可を受ける場合
次のいずれかに該当することを証明する必要が有ります。
イ | 次の期間、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関する実務経験を有する者である 学校教育法による ・高校の所定学科を卒業後・・・・・・・・・・5年以上 ・大学の所定学科を卒業後・・・・・・・・・・3年以上 (高等専門学校・旧専門学校を含む) ・専門学校の所定学科を卒業後・・・・・・・・5年以上 (専門士若しくは高度専門士を証する場合・・3年以上) |
ロ | 10年以上、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関する実務経験を有する者である (学歴・資格は問いません) |
ハ | イ、ロと同等以上の知識・技術・技能を有すると認められた次の者である ①次の資料の資格区分に該当する者 確認資料検索 102a.pdf (mlit.go.jp) ②その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者 |
特定建設業の許可を受ける場合
次のいずれかに該当することが必要です。
イ | 許可を受けようとする建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた試験に合格した者又は建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた免許を受けた者である 確認資料検索 102a.pdf (mlit.go.jp) |
ロ | 一般建設業の許可基準で定めるイ・ロ・ハに該当し(左表を参照ください)、かつ、元請として4,500万円以上の工事(※)について2年以上指導監督的な実務経験を有しるものである。 |
ハ | 国土交通大臣が、イ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有すると認める者である |
(※):上記、4,500万円以上とするところ、
・昭和59年10月1日前にあっては、1,500万円以上
・平成6年12月28日前にあっては、3,000万円以上とする。
注:指定建設業については上記のイ又はハに該当する者に限られます。
参考資料(外部リンク)
指定学科一覧 建設産業・不動産業:指定学科一覧 – 国土交通省 (mlit.go.jp)
上記資料より、専任技術者要件を具体例を挙げて検証
・2級建築士の資格を有しているので、「大工工事業」と「ガラス工事業」の許可取得を検討している。
2級建築士資格では、「大工工事業」許可の取得は可能となりますが、「ガラス工事業」の許可を取得することはできません。
・10年間、個人事業主として大工工事を請け負ってきた。その期間の確定申告書、工事を請け負った際の注文書が有る。
10年間の実務経験を証明する資料が十分であるため、「大工工事業」の許可取得は可能となります。
・10年間、個人事業主として「ガラス工事」を請け負ってきたが、10年分の工事請負契約書はあるが、確定申告書は9年分しかない。
残念ながら10年間の実務経験を満たす資料としては不十分です。他の手段により要件を満たさない限り許可の取得は難しいでしょう。
・10年間、ある会社の従業員として鉄筋工をしている。その期間の工事請負契約書の用意はできるが社会保険には未加入である。この度、独立をして「鉄筋工業」の許可取得を考えている。
社会保険に未加入であるため10年間の実務経験を証明することができません。他の証明資料が無い限り許可取得は難しいのではないでしょうか。
〇 「専技」を設置するにあたり、次の点でのご留意が必要となります
・原則として「専技」には専任性が求められるため、「他社の代表取締役及び清算人等」は、申請会社の「専技」になることはできません。
(「他社」において複数の代表取締役が存在し、申請会社での常勤性に問題が無い場合は除かれます。)
・「専技」は建設業の「他社の技術者」にはなれません。
また、管理建築士、宅地建物取引業免許における専任の取引士等、他の法令により専任を要する者と兼ねることはできません。
・国会議員又は地方公共団体の議員は専任性の観点から「専技」にはなれません。
・住居地が著しく遠距離にあり常識的に常時通勤は不可能と判断される者は、専任性の観点から当該営業所では「専技」になれません。
・同一人が、同一営業所内で「常勤役員等(経営業務責任者)」と「専技」の両者を兼務することができます。
・複数の業種の「専技」の要件を満たしている者は、同一営業所の複数の業種の「専技」を兼ねることができます。
主任技術者・管理技術者とは
建設業法では、各工事現場における当該建設工事に関し、実務経験又は所定の資格を有する者を配置して工事施工の技術上の管理を行わせるものとされ、また、工事現場に配置される技術者は、所属する建設業者と直接かつ恒常的な雇用関係にある者を設置しなければならないとされております。
よって、建設現場では設置要件を満たす技術者の配置が義務付けられ、工事現場の規模等によって「主任技術者」又は「管理技術者」の設置が求められております。
では、「専任技術者」とは言葉が非常に似てはおりますが、その求められる役割にはどのような違いが有るのかを簡単に説明いたします。
「専任技術者」とは
許可事業を行う営業所に常勤して、適正な請負契約の締結、履行の確保及び現場のバックアップ・サポートを行うことをその任として配置が義務付けられる者をいいます。
「主任技術者」とは
建設業許可を受けた事業者が建設工事を施工する場合、請負金額の「大・小」、「元・下請」に関わらず、工事現場での施行技術上の管理・監督を行う者であり、全ての工事現場に配置が義務付けられております。
なお、主任技術者の資格要件は、主に、担当する工種に応じた1級・2級国家資格、又は一定期間以上の実務経験が必要とされております。
「管理技術者」とは
発注者から直接工事を請負う者で、4,500万円以上(建築一式工事では 7,000万円以上)の下請契約を締結して工事を行う場合に設置が求められ、「主任技術者」に代わり工事現場に配置が義務付けられる者をいいます。
「管理技術者」に求められる業務内容は、「主任技術者」のそれとほぼ同じではありますが、下請事業者の指導を行うことが業務内容に含まれますので、管理技術者の資格要件では、担当する工種に応じた1級国家資格、又は一定期間以上の実務経験が必要とされ、求められる要件のレベルもより高いものとなっております。
「専任技術者」と「主任技術者」、「管理技術者」は兼務が可能?
「専任技術者」は営業所に「常勤」することが求められ、他方、「主任技術者」及び「管理技術者」は「工事現場に配置」され現場を指揮・監督することが求められているため、互いの技術職は原則兼務を認めてはいません。
しかし、近年の建設業界では働き手不足は深刻な問題でもあり、また、一人親方による許可取得も増える傾向にあります。そこで、一定の要件を満たすことを条件に兼務が認められるようになり、多くの一人親方事業者に利用されてきております。
次の①~④の要件をすべて満たす場合に限り「専任技術者」と「主任技術者」及び「管理技術者」の兼任が可能となります。
① 当該専任技術者が設置される営業所で請負契約が締結された工事である。
② 工事現場の職務しながら実質的に営業所の職務も従事しうる程度に工事現場と営業所が近接(およそ10㎞以内)している。(※)
③ 工事現場と営業所との間で常時連絡をとりうる体制がある。
④ 当該請負工事金額が4,000万円(建築一式工事 8,000万円)以下(これを、「非専任現場」といいます。)の工事現場である。(現状では、「専
任現場」との兼務は認められておりません。)
(※):上記要件を満たす限り、「専任技術者」が「主任技術者」として複数現場を兼務することが可能となりますが、その際の要件の一つである「近
接」については、「専任技術者の専任・常勤」の要件から営業所と工事現場の距離を問うものでありますので、工事現場同士の間では距離要件を問
うものではありません。
まとめ
専任技術者の設置は、建設業許可取得の必須要件でもあり、許可要件を満たす人材の確保することが当該許可申請におおいても大切な作業となります。
そこで、「どのような人材を確保すべきか、どのような資格を要するのか」を知ることが非常に重要であり、条件を満たさない者を配置の前提で当該申請に向けた準備を進めることは、無駄な時間を過ごすことであり、時間的・経済的に大きな損失を被る可能性が有ります。
当事務所では、ヒアリングシートを使いながら各種資格要件を確認して参ります。
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