貨物自動車運送事業の定義では、「他人(又は特定の者)の需要に応じ有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を含む。)を使用して貨物を運送する」事業とされ、当該事業を業とする者は、事前に「貨物自動車運送事業」の許可取得又は届出を行うことが求められます。
つまり、上記から読み取れる許可(届出)要件は次の4つであることが理解できます。
  ・他人からの需要(依頼)であること
  ・輸送の依頼に運賃が発生する(有償である)こと
  ・運送業者はその輸送に自動車を使用すること
  ・輸送の対象が「物」であること(「人」の輸送ではないこと)

貨物自動車運送事業法では、「貨物自動車運送事業」を次の3種類と定義しております。

一般貨物自動車運送事業
「他人(不特定の者)の需要に応じ、有償で、自動車(三輪車以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。」とされています。
つまり、依頼人を特定せず、不特定多数の者からの依頼を想定して運送事業を行う場合を定義しております。

特定貨物自動車運送事業
特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業をいう。」とされています。
特定の者と記載があるように、依頼人は限定されています。通常、取引のある1社からの依頼を専門に運送事業を行う場合を定義しております。

貨物軽自動車運送事業
「他人の需要に応じ、有償で、三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を使用して貨物を運送する事業をいう。」とされています。
ここでは、軽自動車及び125ccを超えるバイクを使用して運送事業を行う場合を定義しています。個人宅配便やバイク便などがこの事業に該当し、近年、特にその利用が拡大傾向にあります。

更に、運送形態として、次の2種類が定義されております。

特別積合せ貨物運送
一般貨物自動車運送事業」者は、営業所その他の事業所(併せて、「事業場」という。)において集貨された貨物の仕分けを行い、仕分けされた貨物を積合わせて他の事業場に運送し、積合せ貨物を当該他の事業場において更に配達に必要となる仕分けを行うものとされ、これらの事業場間における当該積合せ貨物の運送を定期的に行うものであること定義されております。
 上記定義より、要件が次の4つであることが理解できます。
  ・「一般貨物自動車運送事業」の事業者であること。
  ・起点及び終点となる事業場で必要な仕分けを行うこと。
  ・集貨された貨物を定期的に運送すること。
  ・仕分け及び運送を事業者が自ら行うこと。

特別積合せ貨物運送は、その利用形態から、特に「利用者の保護及び運送上の安全を確保することが重要である」とされることから、一定の規制を行う必要があるものとして定義されております。

貨物自動車利用運送
「一般貨物自動車運送事業」又は「特定貨物自動車運送事業」を経営する者が、他の「一般貨物自動車運送事業」又は「特定貨物自動車運送事業」を経営する者の運送を利用してする貨物の運送をいうと定義されております。

貨物利用運送事業法」の定義

貨物利用運送事業」とは、「荷主からの需要(依頼)に応じ、賃金をいただいて業務の引受けを行い、自ら運送事業のを行うのではなく、実際に荷物の集荷から輸送(配達)までを行う事業者を利用して、その運送事業を行うもの」となります。

この法律において、船舶運航事業者、航空運送事業者、鉄道運送事業者又は貨物自動車運送事業者(以下、「実運送事業者」という。)の行う貨物の運送を「実運送」といい、運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る。)を利用してする貨物の運送を「利用運送」と言います。
更に、「貨物自動車運送事業者」は、「第一種貨物利用運送事業」及び「第二種貨物利用運送事業」の2種類に分類され、それぞれの定義は次のとおりです。

第一種貨物利用運送事業(登録制)
他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいう」と定義しております。
わかり易く言い換えると、「荷主からの依頼に対し、賃金をいいただいて、自らの責任で他の運送事業者に荷物を運んでもらうことであり、第二種貨物利用運送事業に該当しないもの」をいいます。
輸送方法は、トラック輸送に限らず、海運、航空又は鉄道の方法を利用した場合も当該事業に該当し、当該利用運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければなりません。

第二種貨物利用運送事業(許可性)
他人の需要に応じ、有償で、船舶運航事業者、航空運送事業者又は鉄道運送事業者の行う運送に係る利用運送と当該利用運送に先行し及び後続する当該利用運送に係る貨物の集貨及び配達のためにする自動車(貨物軽自動車運送事業者を除く。)による運送とを一貫して行う事業をいう」と定義されています。
わかり易く言い換えると、「荷主からの依頼に対し、賃金をいただいて、集荷先で荷物を受け取り、配達先での納品までのすべての行程(例え、集荷場→トラック→発空港→航空便→着空港→トラック→配達先)で一貫して自らの責任で他の運送事業者に荷物を運んでもらうこと」をいいます。
当該利用運送事業は第一種とは異なり許可制となりますので、利用運送事業開始前に、集配事業計画等の資料を添付し国土交通大臣の許可を受けなければなりません。

「貨物自動車運送事業」許可(届出)を得ることにより緑ナンバー(軽自動車は黒ナンバー)を取得します

白ナンバーでは自社の貨物しか運ぶことができませんが、緑(黒)ナンバーを取得することで、他人からの需要により有償で貨物を運ぶことができるようになります。
よく目にする軽貨物便の多く(黒ナンバー車両)は、この許可(届出)を利用した事業者であり、近年、増える傾向にあります。

例外規定「年末及び夏期等繁忙期におけるトラック輸送対策」

年末及び夏期等繁忙期における利用者のニーズに対応した輸送力の確保(「公共の福祉の確保」)が必要となり、利用状況等の見地から「必要止むを得ない場合」においては、その地域の実情により運輸支局長がその利用を認める場合に限り、貨物自動車運送事業者の営業所に配置されている事業用自動車と同数を上限とする自家用自動車を、春期繁忙期、夏期繁忙期、秋期繁忙期及び年末繁忙期の期間、一両当たり年間90日を上限有償とする運送利用の許可を得ることができます。
なお、その利用範囲は、ラストワンマイル輸送(営業所から近距離の限られた区域内における住居等への配送)として行われるものに限られます。