「建設業」とは、
元請け・下請け、法人、個人及び一人親方を問わず、
建設工事の完成を請負う者のことをいいます。

近年の建設業界では、就業者の高齢化に伴い、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっております。
2024年4月より労働基準法が改正され、時間外労働に対する罰則付き規定が適用(2024問題)されるほか、公共工事だけでなく民間工事においても、様々な機会を通じて、適正な工期設定や週休2日制確保に向けた働きかけが行われるなど、建設業就労者の労働環境改善が図られるとともに、若年入職者確保にむけた取り組みが行われております。

建設業就労者の環境改善に向けた取り組みの一つとして、「建設キャリアアップシステム(CCUP)」の導入があげられます。
技能者の資格や職場での就業履歴等を登録・蓄積することにより、
  ① 若い世代がキャリアパスの見通しが持てる。
  ② 技能・経験の客観的な評価を通じた技能者の適切な処遇改善が図られる。
  ③ 技能者を雇用し育成する企業が伸びていける。

このような取り組みにより、現場を支える労働者がこれからも働き続けられる環境がつくられるとともに、データ連携等を通じた効率的な現場管理が実施され、もって、将来にわたり持続的な役割が担われていく仕組みが作られております。

当事務所では、変わりゆく建設業界の未来を見据え、単に許可取得代理事業にとどまらず、労働者がより安全に働くことのできる環境確保のための情報提供にも努めて参ります。

建設業の経営において、今このような課題を抱えておりませんか?
  • 元請業者から建設業許可の取得を求められている。
  • これからは請負額500万円以上の工事も受注していきたい。
  • 今の事業をさらに成長させて幅広い事業を行いたい。
  • さらに信用力を高めて融資を受けやすくしたい。

近年、元請業者の社内コンプライアンス等により、関係する下請取引先に対し許可取得を厳命することが増えてきております。
また、金融機関からの融資に対し、許可取得が審査の判断材料とされるケースや、工事代金借入れを行う際に融資依頼者の建設業許可の内容が問われる等、その判断材料に利用されることが多くなってきております。

建設工事請負において、「軽微な建設工事(※)」のみを請け負う場合は、建設業許可を受けることなく工事を請け負うことができます。そのため、これまでも請負金額500万円未満での範囲を請負工事の条件として、許可を取得することなく請負事業を行う方も多くいらっしゃいます。
しかし、今後は建設業界全体にもたらされる働き方改革を通して労働環境の改善が図られることにより、一現場においてより多くの労働者の確保が求められるのではないかと予想されます。
安定した事業継続のためにも、建設業許可の新規取得だけでなく、許可事業者は許可業種の追加、変更により、多くの工事現場に参加する機会の確保が必要になるのではないでしょうか。

一定規模以上の建設工事の請負をする場合、工事の種類に合わせた「各種の建設業許可」を取得する必要があり、もし、許可を取得せずに当該工事を請け負った場合、建設業法違反となり、懲役刑や罰金刑を科せられるほか、5年間は建設業許可が取得できなくなるという大変重い処分を受けることになります。

建設業許可は5年ごとに更新が必要となります
許可取得から5年ごとに許可更新申請を行う必要があり、また、許可期間中においても、申請事項に変更が生じた場合や業種の追加等が生じた場合も、その都度、新たな申請(届出)を行う必要があります。
さらに、許可の期間中は毎事業年度(決算)の終了後4か月以内に事業年度終了届(決算終了届)の提出が義務付けられており、もし、本届出が完了していない場合は、当該許可更新手続きを行うことができません。

これまで建設事業許可を取得されることなく請負事業を行われてきた事業者の中には、「その必要性を感じない」という方だけでなく、「許可取得が煩わしい」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
取得建設事業の経営には今後を見通した事業展開が求められます。建設業許可を取得することによって、請負金額に制限を設けず広く引受けを行うことが可能となり、その結果、取引先等から強力な信頼が得られ、さらなる事業拡大が見込まれます。
今後の経営計画を見据えた上で、許可取得の検討をなされてはいかがでしょうか。

(※)軽微な建設工事
   軽微な建設工事とは、次の表に該当する請負工事とされます。
   なお、請負代金とは、注文者が材料を提供する場合のその市場価格及び運送費が、当該請負契約の請負代金に加算された額を指します。

 土木一式工事等
(建設一式工事以外)
1件の請負代金が500万円(税込)未満の工事
 建築一式工事次の①か②のいずれかに該当する工事
 ① 1件の請負代金が1,500万円(税込)未満の工事
 ② 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事

建設業の種類

建設業では、次の表に掲げる29の業種に分かれており、500万円(税込)以上の工事を請け負う場合は、該当する業種ごとの許可を取得する必要があります。
(ただし、いずれの業種においても、完成工事引受けが「軽微な建設工事」の範囲内であれば、許可を受けることなく工事請負が可能となります。)

土 木 工 事 業建 設 工 事 業大 工 工 事 業左 官 工 事 業とび・土工工事業
石  工  事  業屋 根 工 事 業電 気 工 事 業管  工  事  業タイル・れんが・ブロック工事業
鋼 構 造 物 工 事 業鉄 筋 工 事 業舗 装 工 事 業し ゅ ん せ つ 工 事 業板 金 工 事 業
ガ ラ ス 工 事 業塗 装 工 事 業防 水 工 事 業内 装 仕 上 工 事 業機械器具設置工事業
熱 絶 縁 工 事 業電 気 通 信 工 事 業造 園 工 事 業さ く 井 工 事 業建 具 工 事 業
水 道 施 設 工 事 業消 防 施 設 工 事 業清 掃 施 設 工 事 業解 体 工 事 業

(※)建設業法による許可取得とは別に、他の法律により登録又は届出を要する場合が有ります。
    具体例:「電気工事業法による電気工事業の届出」、「建設リサイクル法による浄化槽工事業の届出」等。

特定建設業許可と一般建設業許可の違いとは

特定建設業許可又は一般建設業許可では、申請に納付する手数料が異なる他、許可要件でもある専任技術者の設置に求められる資格・経験等が異なってまいります。

〇 特定建設業許可
 次の①及び②を満たす場合、特定建設業許可が必要となります。
 ① 許可を受けようとする建設業者が工事依頼者から直接請け負う者(元請負人)であること。
 ② 元請負人が下請契約を締結して施行する下請代金の合計額(※)が4,500万円(税込)以上(建築一式工事は7,000万円(税込)以上
  である。
(※)下請代金合計額には、元請負人が提供する資材の価格は含まれません。

〇 一般建設業許可
 特定建設業許可を要しない工事のみを施行する場合は、一般建設業許可が必要となります。

知事許可と国土交通大臣許可の違いとは

知事許可又は国土交通大臣許可では、申請に納付する手数料が異なる他、その申請書の提出先及び提出方法が異なってまいります。

〇 知事許可
  一つの都道府県内のみに「営業所」を設置して営業を行う場合に「知事許可」が必要となります。

〇 国土交通大臣許可
  二つ以上の都道府県内に「営業所」を設置して営業を行う場合に「国土交通大臣許可」が必要となります。

(※)「営業所」とは
  本店若しくは支店又は常時建設工事の請負契約を締結する事務所(請負契約の見積もり、入札、請負契約等の実態を行っている事務所)をいいます。
  ただし、建設工事に無関係な支店、単なる登記上の本店等は営業所とは認められません。

建設業許可を取得するための資格条件

建設業法が定める目的に、「公共の福祉の増進に寄与すること」が有ります。
この目的実現のため、「建設業を営む者の資質の向上」及び「建設工事の適正な施工の確保」に努めることによって、「発注者が保護」されることが求められております。

建設業許可申請において、次の5つの要件すべてを満たしたうえで国土交通大臣又は都道府県知事に対し申請する必要があります。

1. 建設業に係わる経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること

 次のいずれの要件も満たす「経営業務管理責任者」の設置が求められます。
  ① 「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」又は「常勤役員等+補佐人」がいること
  ② 健康保険、厚生年金、雇用保険に適切に加入していること

2. 専任技術者(専技)を営業所ごとに置いていること

   営業所ごとに、許可を得ようとする許可業種ごとに要件を満たす常勤する専任技術者(専技)を置かなくればなりません。

3. 請負契約に関して誠実性を有していること

   次に掲げる許可申請者が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがないことが必要となります。
     許可を受けようとする者が法人の場合・・・その法人、役員等(※)、支店又は営業所の代表者
     許可を受けようとする者が個人の場合・・・その者又は支配人

    (※)役員等とは
       業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人
       に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有する者と認められる者のことをいいます。

4. 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有すること

   倒産することが明らかではなく、かつ、請負契約を履行するに足りる財産的基礎等を有していることが求められております。

5. 欠格要件等に該当しないこと

   請負工事を誠実に履行するためにも、請負工事に携わる者の誠実性が求められます。
   建設許可では欠格要件が設けられ、当要件に該当する場合は許可を受けることができません。

以上、5つの要件につきましては、建設業許可を取得するうえで必須条件となります。要件をすべて満たせば許可取得が可能となりますが、どれか一つでも要件が欠けてしまえば許可を受けることができません。その際には、建設業の経営をあきらめるか、又は請負代金が500万円未満の工事引受けのみを行うという大きなリスクを負うことになります。
近年、毎年のように日本各地で発生している大規模自然災害、又は高度成長期に大規模建設がもたらした公共施設の老朽化に向けた補修・建替え工事等、今後も国民が安心して暮らしていくために、建設産業の果たす役割は益々重要なものになっております。
そんな日本の未来を支えるためにも、「建設業を営む者の資質の向上」と「建設工事の適正な施工の確保」に務めていただきたいと願っております。

建設業許可取得には、上記要件をご確認の上、計画的なご準備が必要となります。
個々の申請者のもつ環境(条件)には様々なものがあり、異なる環境を正しく理解することにより、それぞれの要件を満たす環境の整備が必要となります。その為にも、各要件を深い知識により理解した上で申請に必要な書類を用意すことが許可取得の近道となります。

 正しい解釈のもと、速やかに建設業許可を取得されるためにも、専門家であります「行政書士」にご相談いただけますことをお勧めします。

許可申請手数料

許可申請をしようとする場合、許可申請手数料又は登録免許税を納めなければなりません。
紙による申請の場合の主な許可申請手数料又は登録免許税は次のとおりとなります。
※ 電子申請の場合は、電子申請システムの指示(Pay-easyを利用しての納付等)に従って納付することになります。

大 臣 許 可(一般又は特定のみを申請する場合)知事許可(一般又は特定のみを申請する場合)
新     規15万円(登録免許税)9万円(収入印紙(※))
業 種 追 加5万円(収入印紙)5万円(収入印紙(※))
更     新5万円(収入印紙)5万円(収入印紙(※))
(※) 千葉知事許可申請では、千葉県の発行する収入印紙を所定箇所に貼付し申請します。

※ 申請手続きを行政書士に依頼した場合、上記申請手数料とは別に、行政書士に対する業務報酬等が発生します。

標準処理期間

標準処理期間とは、特に補正の必要ない申請書が、担当行政庁に提出されてから許可・不許可の処分がなされるまでに要する審査期間をいいます。

〇 千葉県知事許可申請の場合、45日
〇 国土交通大臣許可申請の場合、90日

上記期間は「期間の目安」であり、上記期間以上に審査を要することも考えられます。また、申請書等に不備があり審査の途中で補正を求められた場合等は、審査が大幅に遅れることがありますので特に注意が必要です。

建設業許可申請については、申請の難易度、係る時間・労力、及び行政書士に対する報酬額等を比較検討し、申請者自らが申請業務をおこなうのか、又は専門家である「行政書士」へ申請業務を依頼するのか、どちらかを選択されると思います。

上記案内のとおり、申請には添付資料を含め、完ぺきな書類の作成が求められます。また、申請先は行政庁であり、平日に多くの時間を要する事になり、業務に大きな弊害を生じさせることも考えられます。
許可取得を急いでいる、又は申請書作成に少しでも不安がある」という方は、専門家である「行政書士」にご相談されることをお勧めします。

許可の有効期間

建設業許可の許可取得後5年ごとに許可更新をする必要が有ります。
更新する場合の申請期間は、5年間の有効期間が満了する日の90日前から30日前までとなっております。
(更新手続きと同時に業種追加をする場合の申請期間は、60日前までとなります。)
更新手続きをすることなく、有効期間を経過してしまいますと許可が失効となり、改めて、新規許可申請を行うことになり、費用だけでなく、許可取得に時間を要することになります。もちろん、執行期間中は新規の業務請負はできなくなります。
大きな損失となりますので、更新手続きを失念されないようにご注意願います。

申請書類及び確認資料のご案内

建設業許可申請では、行政庁より指定される申請書の作成及び確認資料の添付が求められます。特に、事業形態や許可を取得される業種の数等によっては、提出書類がかなりの枚数になることが予想されます。
その他にも、申請先行政庁によっては、求められる申請書及び添付資料に若干の違いがある他、求められる記載事項についても若干の違いがあるなど、事前に求められる申請書等の確認を行うことが重要となります。
許可申請にあたっては、申請先行政庁より発行される「手引き」をよく確認いただくか、若しくは行政書士にご相談されますことをお勧めいたします。

経営事項審査

公共工事を発注する機関は、競争入札に参加した建設業者の中から、資格審査を行ったうえで落札業者を決定することになります。
この資格審査にあたっては、欠格要件の該当性を審査したうえで、「客観的事項」と「発注者別評価」の審査結果を点数化して各建設業者ごとの格付けが行われることになります。
このうち、「客観的事項」にあたるのが、「経営事項審査」となります

まとめ

 建設業許可は新規に取得取得さえすれば終わりではなく、許可申請後も5年ごとに行う許可更新申請の他、毎年の事業年度終了後一定期間内に行う変更届(事業年度変更届)等、継続的な管理・届出が必要となります。また、それぞれの申請・届出には期間が設けられているため、繁忙期等による失念の無いよう計画的に運営されることが求められます。

行政書士は許認可申請書作成の専門家であり、「身近な法律家」として多くの方の支えになれるよう日々研鑽に努めております。
当事務所は、許可・届出書の作成、代理申請等の業務を行うだけでなく、企業法務のアドバイザーとして、より良い信頼関係を維持に努めております。